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 小松寺の前方にある山頂には天狗が住んでいて、大きな杉や松のある山中を、すさまじい音をたてて飛びかったり、また、音もなくひらりひらりと身をかわしたりするといわれていました。

 そして、この寺山の木を無断で切ると、木の切り口から血が流れ出ると伝えられてきました。また、盗伐に入ると木は必ず盗伐者の方に倒れ、大怪我をして山から出られなくなるともいわれ、人々から恐ろしがられていました。

 さて、その天狗は今もこの山に住んでいるのでしょうか。



天狗は深山に住むといわれる伝説上の生き物です。山岳修行者のような姿をし、神通力があり自由に飛行することができるといわれています。各地に天狗にまつわる怪異な話が伝承されており、山中で起こる不思議な現象は、しばしば天狗の仕業であるとされます。小松寺山には「飯綱権現」が祀られており、ここに棲む天狗は、寺や周囲の山々を守っています。かつては多くの僧が修行をしていた山でもあり、そのような聖なる領域は、誰でも安易に足を踏み入れるような場所であってはならなかったのでしょう。山を荒らしたり、木々を伐採するような者が近寄らないよう、このような伝説ができたのではないでしょうか。また、小松寺の開祖とされる役小角(えんのおづぬ)が、感得した蔵王権現を桜の木に刻んだことから、山岳信仰のある霊山では山桜は御神木とされ伐採を禁じていました。





  


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