朱塗りの仁王門を入ると、左に梵鐘、右に薬師堂、正面に本堂があります。

境内は樹木に深く包まれており、神秘的な雰囲気が感じられます。




 ▼仁王門 仁王像(金剛力士)




吽形

  阿形
仁王は正式には「金剛力士」といい、筋肉隆々の力強い身体と忿怒の形相
で山門に立ち、境内に仏敵が入らないよう守っています。口を開けたお姿
が阿形(あぎょう)、口を閉じたお姿が吽形(うんぎょう)で、これはサンスク
リット語の最初の発音「ア(a)」と最後の発音「フーン(hum)」を意味します。
つまり、物事の始めと終わりを象徴的にあらわしているのです。仏教では、
阿形は悟りを求める菩提心(ぼだいしん)、吽形はその結果としての悟りを
あらわします。また、金剛力士の持つ金剛杵(こんごうしょ)は、煩悩を打ち
砕く智慧をあらわしています。



 ▼鐘楼 梵鐘

小松寺の梵鐘は、応安7年(1374年)に寄進され、周囲の山々にこだまするたいへん美しい鐘の音を響かせておりましたが、県指定文化財となり、現在はその保護のため鐘を突くことはありません。小松寺の長い歴史が沁み込んでいる寺宝のひとつでもあります。
≪ 鐘楼の彫刻 安房郡國分村 彫工 後藤義信 ≫



 ▼本堂


はがきの木(多羅葉)
葉の裏に、先の尖ったもので文字や絵をかくと黒く浮かび上がります。戦国時代には、この葉を武士が便りに使用しており、現代の「葉書」の語源となりました。また、神社や寺院でも多く見られる木ですが、葉を火で炙ると様々な黒い模様が浮かび上がるので、その形によって昔は占いにも使われていたそうです。






 薬師堂



夏に咲くサルスベリ〈百紅花〉



 ▼結界門


小松寺の参道には木造でできた鳥居があります。お寺なのになぜ鳥居が?と不思議に思われるかもしれませんが、これは神仏習合(神と仏を結びつけた信仰)の名残りといえます。鳥居は人界と神域とを分ける結界でもあり、この先が聖なる領域であることを意味しています。通常、鳥居の構造は、二本の柱と柱の上に乗せた「笠木(かさぎ)」、その下に水平に通された「貫(ぬき)」という柱から成っています。小松寺の鳥居は、笠木が取り外されており、元はどのような形の鳥居であったのかが不明です。笠木の無い鳥居になってしまった背景には、明治元年(1867年)に発令された「神仏分離令」の影響があったのではないかとも考えられます。


檀特山 小松寺 当サイトに掲載の文章・写真等の無断転載を固く禁じます。